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緊急リポート「東日本大震災」(3)

緊急リポート「東日本大震災」(3)

緊急リポート「東日本大震災」(3)さんプロフィール
【代表取締役/竹中 志元】1972年生まれ、帯広出身。2003年札幌にて株式会社デザインセンターを設立。RC建築を中心に、日本全国で年間300棟以上のデザイン設計、構造計算を行なう。

株式会社デザインセンターは、全国のビルダー・工務店に向け、主にコンクリート住宅のデザイン設計の提供を行なっております。
今回の東日本大震災によって大きな被害を受けた、仙台市若林区、宮城県気仙沼地区などにも顧客企業があり、同地区には同社の設計物件が30棟ほどあります。
2011年4月9日、代表取締役竹中志元氏が、状況を把握するため被災地に入りしました。

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海岸から約600m地点。3階建ての集合住宅の屋上に残された乗用車。


16メートル超の津波に襲われた町〈南三陸〉

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 私たちは気仙沼を後にし、高さ16mを超える津波が襲ったという宮城県南三陸地方に向かいました。
 途中、跪くように傾いた鉄筋コンクリートの建物を発見。築年数20年〜30年ほどでしょうか、構造的に基準の緩かった時代の建築物のようです。ラーメン構造の一部の柱が折れたことで建物全体が傾いてしまったように見えます。すぐ近くに川が流れている事から推測して地盤自体が軟弱だった可能性もありますが、基礎部分までもが沈み水平ではなくなっています。ただ、構造に甚大な損傷が無ければ、ジャッキアップなどにより復元も可能に思われます。

  震災後と震災前の比較航空写真〈南三陸付近〉独立行政法人防災科学技術研究所 ALL311:東日本大震災協働情報プラットフォーム
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地形が災いして津波の力が増幅

 夏には、海水浴やキャンプ、マリンレジャーなどで賑わう南三陸地方。海をひとつの観光資源としてきたこの町が、その海の脅威で壊滅状態になってしまいました。
 この地区の海は海岸付近で急激に浅くなっていることと、湾が太平洋側に向けて開いているという地形的な特徴もあり、直撃した津波の高さは16m。4階建ての建物の最上階まで達したといわれます。また、専門家の調査では1㎡あたり40tの圧力がかかったとも報告されています。

 海から約200mのところにある3階建ての建物は屋根の上にもがれきが残っていて、当時、津波に完全に水没してしまったことがわかります。
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 コンクリート造の3棟は倒壊こそ免れていますが、海岸に対して平行に建てられたいることもあって、引き波をせき止めるような状態になり、建物の内部に大量のがれきが詰まっています。今後、構造体を残してのがれき撤去作業は困難が予想されます。
 手前には鉄骨構造の建築物の残骸が溢れていました。あの堅いH鋼も折れ曲がったり、ねじれたりして、まるで解体現場の様相です。

ここにも残っていた鉄筋コンクリート住宅

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 震災後の航空写真を見ると、住宅らしき建築物はまったく見当たらない状況ですが、1棟、はっきりとした輪郭を残す建物があります。これが南三陸地区で確認する事のできた鉄筋コンクリート2階建ての住宅です。
 海岸から200m。小さな川のほとりに建つ中規模の2階建て屋上付き住宅です。

 この住宅も、開口サッシや、屋上の手すりなど、駆体以外の部材の部分は失われていますが、構造体としての大きな損壊は見られません。壁面には漂流物によって付いたのか、無数の傷が見られます。

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 建物の周囲の地面はコンクリートを敷き、建物と一体化させたような施工をしていますが、一部、下の土が削り取られ、浮いたような状態になっていました。ただ、基礎にまでは影響を与えていません。


 陽が沈みかけた黄昏の刻。少し離れたところから見ると、打ち放しの駆体が夕日を反射して金色に染まっているように見えました。もちろんここは、とても傷ましく哀しい災害に見舞われた地ではありますが、この建物だけは、まるで何事も無かったような、凛とした姿に見えます。

 今回の大津波により、この地域のほとんどの住宅が基礎だけを残して壊滅してしまったなかで、大きな破損も無く、駆体がそのまま残っているコンクリート住宅。この耐久性の差は、客感的事実としてこの場所に示し残されています。
 もちろん、このような大津波の場合は残念ながら、建物が残ることと人命を守ることが、必ずしもイコールではありませんでした。しかし、耐久性のある住まいを選ぶというのは、災害に備えるという意味で、もっとも本質的に考えなければならないことではないでしょうか。同時に、建築に携わるものはこれからも、安全な住まいとは何かという事を、真摯な姿勢でアナウンスしていく必要があると思います。

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世界に誇れる日本の建築耐震技術

 被災地では復旧・復興作業が始まっています。それはとても長い道のりになることでしょう。また、この災害を受けて新たに、建築に係る法令もより高い安全基準へと変更が加えられるのかもしれません。しかし、津波被害の陰に隠れてあまりクローズアップされませんが、今回の震災のおいて計測された震度から考えると、地震そのものによる建築被害は、幸いな事にとても少なかったといえます。例えばこれが他の諸外国であったなら、もっと甚大な被害になっていたのではないでしょうか。

 つまり、コンクリート住宅に限らず、日本の建築の耐震構造設計のレベルは、世界一と言っても過言ではないのです。そのことは間違いなく証明されました。この信頼出来る建築技術を、もっと日本以外の国々にも積極的に提供出来れば、世界中から集まった援助と祈りに対するお礼にもなるのではないでしょうか。

 
 被災地を訪ねてあらためて思う事は、命、仕事(企業)、そして家は、個人のものでありながら、同時にこの国を支える資産でもあるということです。国はこの資産を大切に守る義務があるのです。
 原発事故の対応問題も含めて、国が何よりも第一優先に考えなければならないのは、人の命。それが何かの都合と天秤にかけられる姿など私は絶対に見たくありません。
〈了〉


sinsai_riseagain.jpg 株式会社デザインセンター(札幌市中央区、代表 竹中 志元)は、東日本大震災により被災された方への支援活動として、復興を応援するオリジナルのポスターとステッカーを制作し、ウェブサイトを通じて販売。その売上の全額を義援金として寄付する[Rise,again JAPAN PROJECT]を開始しました。

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