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Vol.2 弘田七重
ひろた ななえ

Vol.2 弘田七重

Vol.2 弘田七重さんプロフィール
1974年 奈良県生まれ
1997年 北海道大学工学部建築環境学講座 卒業
同年 ピーエス株式会社入社
現在に至る

1960年、日本で初めて加湿器の製造・販売を始めたピーエス株式会社。その後熱源で作った冷温水を配管で送水する冷暖房システムなどを開発。これまでの空調の概念を越えた「室内気候」という考え方で、建築物全体の熱環境をオーダーメードで設計。デザイン性にも優れた工業製品としても各方面から高い評価を受けています。


copy1.jpghirota02.jpgーピーエスグループのキャッチフレーズは、「温度と湿度の専門企業」ということですが。弘田さんは開発営業という立場でどのようなお仕事をされているんですか?

弘田 いわゆる営業活動にとどまらず、建築家と打ち合わせや調整をしながら、冷暖房システムの設計も担当しています。弊社は「熱環境」を設計、デザインする会社であることが特徴なのですが、冷暖房もお客さまの好みやライフスタイル、インテリアなどを考慮すると、それぞれに合った計画が必要になるんですね。
わたしの場合は、中でもアトリエ系と呼ばれる建築家の方の物件を担当することが多いのですが、まず、打ち合わせで大切にしているのは、設計する住宅に住む方についての情報です。家族構成から、普段の生活リズムまで。建築家は、「どうしてそこまで踏み込むの?」と不思議がりますが(笑)。なぜ細かく聞くかというと、温度にもバリアフリーがあるからなんです。たとえば、男女でも温度の感じ方は違うんですよ。ですから、家族一人ひとりにとって最も心地良く感じられる熱環境をデザインするために、使う方の生活をベースに計画をします。

syuugou.jpgのサムネール画像ー建築家の方がここに付けたいといっても「だめです」ということもあるんですか?

弘田 ありますね(笑)。建築設計者としては、ここに暖房器具を置きたい。でも、空気の流れを考えると、この位置に置く必要がある、といった感じです。最近は建物の性能が高まり、断熱・気密性能が良くなったので、以前ほど設計の制約はなくなりましたが、やはり家全体としてバランス良く整えていく必要があります。そういったことも含めて、建築家とわたし、それぞれの立場で提案しあって蓄積し、作り上げています。

ー「バランス良く」というのは、具体的にはどのようなことでしょうか。

弘田 わたしたちが行っているのは、設備設計というより「熱のデザイン」です。
通常の暖房機は、6畳なら何Wとか何Kcalの熱量が必要、というように計算しますよね。わたしたちの場合は、面積ではなく空間を立体的に捉えて、熱の動きや空気の流れを考えます。「ここはガラスが大きいので、輻射(ふくしゃ)面積をこのくらいに」とか、「窓が高いからドラフト防止のために、このくらいの対流成分を」という具合に。そして、最終的に数値検証を行います。
ピーエスで大切にしているキーワードに、「室温気候」というものがあるんですが、自然の気候と同じように、第二の自然として室内環境を捉えています。なぜこの視点が重要かというと、現代人は人生の90%を室内で生活しているということに基づいています。外の環境より室内の環境のほうが体に作用している時間が大きいんですね。
わたしたちが心がけているのは、室内でも気持ちの良い「変化」がある熱のデザインです。朝から夕方にかけて気温が変わるように、室内温度もゆっくりと移ろいでいく。そんな体感的な尺度を盛り込みながら計画することで、「体に優しい快適さ」を生み出すことができるんです。この考え方は、建築家の方も面白いとおっしゃいますね。

ー一般的に工業製品であれば、同じ物を大量生産するほうが効率がいいと思うのですが、あえてオーダーメードにこだわっていますね。

弘田 建築のプラン、お客様の好みによって要求される暖房のデザインは様々なんです。それに対してこちらが描いたデザインを実現するためには、ひとつひとつ作るしかないんです。色についても同様のことが言えるわけで、インテリアのひとつとして考えると、当然色の要求というのも出てくるんですが、それに応えられないというのは私たちの目指すものとしては片手落ちになりますので、現在70色のカラーバリエーションをご用意しています。

hirota03.jpgー確かにインテリアの一部のような使われ方もしていますね

弘田 デザイン的に建築に同化させることを前提にすることもある一方で、あえて「見せる」使われ方もあります。例えば間仕切りのパーティションとして使うようなこともあり得るんです。

ー気になるのはコスト面ですが。

弘田 どのようなデザインにするかで変わってきます。たとえば熱源を何にするかによっても予算は変わります。暖房に関しては、お湯を作ることができる熱源であれば、灯油、ガス、電気ボイラー、ヒートポンプ、どれでも構いません。冷房についてはやはりヒートポンプが多いですね。イニシャルコストは建築予算の5〜7%が一般的ですが、10%を越えることも少なくありません。ランニングコストは、ゆるやかに稼働させ続けるシステムなので、燃費が良いと言えます。これは車に例えると、急発進、急加速をせずに、ゆるやかに走り続けるほうが燃費的にいいですよね。それと同じです。




copy2.jpgのサムネール画像


ー住宅の構造とシステムとの相性というのはありますか?

弘田 ピーエスの暖房システムは、熱容量(熱を蓄える力)のある建物ほど相性が良いですね。そういう意味では木造よりもRCが有利と言えると思います。そもそも、輻射と自然対流を組み合わせるというのは、単純に「室内」を温めるということではなくて、壁、床など「物」を温めるという考えなので、熱を蓄えることができれば、わずかな放熱でも室内を温められます。ですから、設計ボリュームも非常に抑えることができ、イニシャルコストはもちろんランニングコストについても下がることになります。こういった点でも、RC住宅はピーエスのシステムと、とても相性の良い建築です。すごく環境負荷の小さい建物を実現できるんですね。当社の冷暖房は24時間ゆったりと連続運転させるシステムですから、重厚な蓄熱層があるRCは、特に効率良く熱を蓄えることができます。建物が温まっていると、外気がぐっと下がった場合でも、タイムラグで穏やかな環境を残してくれます。デザインの自由度も上がりますし、コスト的にもメリットは大きいですね。

HX powder.jpgー新しい冷房技術も開発されているとお聞きしましたが。

弘田 はい。新渋谷駅地下ホームに導入された「天井放射冷却システム」では、まったく新しい冷房システムとして、各方面から高い評価をいただきました。今回は、建築家の安藤忠雄さんが行う意匠設計と弊社がもつ技術がコラボレーションしたプロジェクトでした。ホームの仕上げ材の天井パネルと冷却チューブを一体化させたのですが、環境負荷の低減に取り組んだ結果、導き出された回答です。こういった成果は、今後、公共の場などで広がる可能性も期待していますし、当社の新しい展開になるとも考えています。

ーたくさんの建築家の方が、設計の一部としてピーエスのシステムを導入されているのは、室内温度環境へのこだわりと、それを叶える技術に信頼を寄せているからなんですね。

弘田 ありがとうございます。

ー最後に、一般ユーザーの方にメッセージがありましたら・・・。

弘田 お客さまにとって冷暖房機の選択肢はすごくたくさんあるということを知っていただいて、その選択を楽しんでいただきたいですね。単純に機械的なものだと思わないでほしいです。そのためにも、デザインや室内環境の可能性を、もっと私たちはお伝えしていきたいですね。






ピーエス株式会社

ピーエス株式会社

■本社〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-1-3 
TEL:03-3469-7111(代表)
■北広島営業所
〒061-1112 北海道北広島市共栄41-3 
TEL:011-372-7601

http://www.ps-group.co.jp/

取材 memo

訪ねたのは北海道北広島市。緑鮮やかな広大な敷地に同化するように、ピーエス株式会社様の工場とオフィスはありました。「質の高い製品は質の高い環境から」という企業テーマを見事に実践しています。「社員満足度は?」という問いに「私は高いです」と即答だった弘田さん。お話を伺っていても、自社の製品や仕事に誇りを持ってらっしゃるのがとても良く伝わってきました。

構成/ 文:小野菜子  写真:古田智紀

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